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SF小説「アイランド」山田企画事務所

SF小説「アイランド」山田企画事務所

■アイランド■第6回

■アイランド■第6回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com 

 艇はザ・タワーのプラットフォームから垂直に浮上し、出入口の屋根を突き破
って上昇していく。
 もう一隻、艇が残っている。マイケルはその艇に走りよる。

残っていた警備隊員の一人が、マイケルを静止させる。
「機動兵、これは、お前の乗り物ではない」
「うるさい、何を言っている。あいつを今、停止しないと大変な事
になるんだ」

「乗船許可のない者は乗せるわけにはいかん」
「何をいってやがる」

 マイケルは警備兵をなぐり飛ばした。が、アリスとの戦いで弱っ
ているマイケルの力はあまり、警備兵には効かない。警備兵がマイ
ケルの体を押さえにかかる。
「くそっ放せ、放すんだ」
「うるさい、サージャント。俺の位は大尉だぞ、命令を聞け」

「この重大事に地位など関係ない」
 二人はもつれ込んで、艇の内に入った。「くそっ」マイケルはロ
ケットエンジンのボタンを押す。
「きさま、何をするんだ」
 警備兵の挙をさけ、マイケルは発進スイ。チを、かろうじて押し
た。
「うわっ」
 警傭兵は、スタートのショックでコックピットのコンソールにぶ
つかり、動かなくなった。
「すまん。しばらく、おとなしくしていてくれ」

 マイケルはコックピットを見て、ザ・タワーの警告音を無視して、
上空へあがる。
 「連絡艇、どうしたんだ。推が乗っているんだ」
 ザ・タワーのエリア・コントロール・センターから呼び出しがかかる。
 「すまん、機動兵のマイケル・ブレナンだ。階級サージャント。侵
入者を襲う」
 「待て、サージャント」

 マイケルは無線器をOFFにした。
 コンソールのモニターに先行するアリスの艇が写っている。
 「よし、アリスめ、これをくらえ」
 
マイケルは再び、ミサイル攻撃をかける。が、ある事に気づく。
 「そうだ、いかん。フルスロットルだ」
 ミサイルを発射し、同時に自分の艇を、できるだけアリスの艇に
近づける。
 大爆発が起った。マイケルは相手とさしちがえるつもりだったの
だ。さすがはザタワーの機動兵である。

 が、爆発した両艇の破片が散ばり、落ちてゆく空の一点に、石球
が停止していた。
 その石球はやがて、地球を廻る。ある島の上空で止まり、急速に
島へ落下していく。決められた一つの運命の様に。
 その島の名はサンチェス島。
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/


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